haiku0191

 

流感の急患欠かぬ五週間


感染症、呼吸疾患、皮膚病、精神障害、衆生濁の極みか。

向精神薬を服用しないのは自己責任だが、感冒薬、特に抗生物質についてはもはやテロだ。

精神病患者は錠剤によって自我が制御されてしまうのを嫌う。症状と副作用とが合わさって倦怠感、虚無感に襲われる。大抵は前者の影響が支配的だが不随意なので後者を管理しようとする。断薬で一時的に嘗ての自分を取り戻すのだ。併し、残念乍ら一過性で軈て再発する。経済状況も意欲を司る神経も悪化しているのでそのまま医療や福祉に繫縛される運命にある。とは言え極一部を除き事件や事故を起こす可能性は皆無だ。例外も仁術と慈愛を施せば未然に防げる。

抗生物質は必ず五日間使えとあったら五日間欠かしてはならない。耐性菌を作り出してしまうからだ。19年型コロナの免疫逃避は秀逸だった。結核や痘瘡でさえ再流行する日が来るのではないかと震えている。鏡像異性体の構造を持つ人工合成微生物が生命を滅ぼし得るのではないかとの論文も出ている。気を揉まない日はない。

疫病は手の打ちようがないが、慢性ならば鯫生も役に立てるかもしれない。陸游は更に芎芷の輩を求むるを用いず、吾が詩読み罷らば自ずから醒然たらんと村民に答えた。心的外傷による幻痛も待合室で病気自慢しているご老体も誰かの詩を読めばましになるかもしれない。言葉に依って癒す、そんなことをホモ・ロクェンスの病は教えてくれた。愛語を増やして行きたい。

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