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6月句会の弁明。 黴雨の市華美なキャビネの映えてをり 月見の紙マルシェを詠んだ。商才の無さに因る門前雀羅に愕然とした。千客万来の内閣染みた向こう側へ若干のやっかみを籠めて黴を生やしてみた。キャビネ (cabinet) はキャビネ判即ち写真の大きさの事で更に紙と続けるのを躊躇したのだが多義語だった為に通じなかった。「黴雨の市華美なキャビネの紙映えて」と思切った方が良かった。実際にはありそうで無かったが、陳列用の飾り棚や小洒落た部屋も想起する。て切れと季語に鬱屈が滲んでいる。 まったり談笑するのが一番楽しいので満足している。但し全体として見た時、客層が固定化してしまうと Capital Corrective (首都の資本による修正)の焼増しでしかないとは懸念している。尤も紙マルシェであって書肆ではないのだが。 鼻濁音出だす口より枇杷の種 鼻濁音の字面は非常に汚いが耳に快い。自然な韻を踏んで裏切る文脈になったので良かった。上品さと素朴さとが入混じる其の人と共にする果物の美味しさを描写出来た。 父の日の型録破り捨てにけり ボツにした句。詳細は zekku0178 へ。 父と子の向かひ合ふ名や慰霊の日 流石に前の句では味気ないので替えた。6月20日の報道特集で丁度流れていた。軍機保護法の苛烈な運用は沖縄をも蔽った。疎開先の山から一時的に降りただけで間諜と疑われ時には拷問され死に至ったと言う。飢えと日本軍の冷酷さに抗議したのか耐えかねたのか時と所を別にして自害してしまった祖父と叔父の名が慰霊碑に向かい合って記されている。女性がしみじみと回顧していた。 父と子の対面からは想像し得ない展開と鎮座する季語に戦争の重々しさを感じる。 _/_/_/_/_/ 鯫生の句を分析すると、下五に季語を置く句が圧倒的に多いだろう。連作中は季語の位置を散らしているが一句だけだと後ろに落着いてしまう。下五の三分の一が上五で、後は百に二、三だけが中七だと思う。 自分では習熟していないが、中七に季語を挟むと軽みがあって面白い。下五は荘厳になりがちだ。上五は安定感があるものの凡庸になり易いだろう。もう一度頭を確認したくなるような詠は稀である。