zekku0017
頌松風、得皮字。
嘉哉芋犬皮。消却一家悲。炯炯三饕餮。應殘鑰扊扅。
韻支、平起、五絶。
嘉き哉芋犬皮。一家の悲しみを消却す。炯炯たる三饕餮。應に鑰と扊扅とを殘ふべし。
注釈。芋犬皮、和臭、菓子名、一名松風。炯炯、鋭く輝く様、此処では饕餮の眼光を言う。饕餮、獸名、食欲旺盛な者の譬え。鑰、鎖、錠前。残、壊、そこなう、やぶる、墮(又は隳)は韻の為不可。扊扅(戸+炎,戸+多)、閂、扊の韻は琰(上声)。
芋犬皮の皮で韻を探すと見慣れない字が。戸垂れに多だ。エンシで扃関の意味。早速使ってみた。転結で三人の大食らいが居るので封じても無駄だろうと詠う。皆健啖家で倹約家なのでエンゲル係数が高い。題名で松風を頌めるとあるが、言葉遊び。音符を揃えた。ショウは準一級の中で正解率が低い。否、松風と犬皮は違うと仰る和菓子職人の方々には申し訳ない。
よきかな、うまきかなと詠嘆するよりは地名を容れたかったが、土佐も土州も高知も四国も平仄や韻の問題があり嵌らない。支韻字は沢山あるので句末以外に紛れないよう神経を尖らせた。尚、詩作中に却下したのは知、飢、之、児、墮。何十句と到底する時は役立ちそうだが、絶句では却って少ない方が簡便だ。
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