haiku0310
努努泥犂にな入りそ歩め螻蛄
螻蛄の水渡りや螻蛄の五能(七つ芸とも)抔と貶される生き物の会会員第三号。鼯と蟹の仲間。そんなに器用貧乏が気に食わないのか。それとも老婆心だろうか。乳母日傘である。
螻蛄の捕食者は或る種の蜂だ。地上に出れば命の危険がある。それなのに、根の国のような地底に潜り込まずに地上を歩むよう勧めるのは果たして親切だろうか。陽光の下でしか物が見えない有象無象の自慢を聞く価値があるのか。屹度、ドワーフの王国とか恐竜たちの住処とかノームの宝物庫とかあると思う。想像に過ぎないと非難されるので現実的な例も並べる。植物の根の立体構造とか地層の綾模様とか鉱物の煌きとか清らな地下の水脈(みを)とかが見られると思う。底つ下が忌々しく感じるのはその脆弱な感覚器官のせいではなかろうか。蟋蟀と近縁と雖も生活が全く異なるのだ。
それでも歩みたいと思わせる何かを貴君は能く用意なさると豪語するのか。それとも、哀れな虫の住処を農業の為ならまだしも、宅地や会社の為に壊してしまうのか。そういう態度が冥途に押し込むのではないか。兎に角、強く生きて欲しい。
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