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市境の自転車を青田風吹き二つの夕の時鐘鳴るなり


五時の鐘が特に不気味で殆困っている。隣町の鐘も入院時に散々聞かされたが、不安を煽る曲調だった。二重に響いて不協和が耳に入って居ても立っても居られなくなった。自転車で風と一体になって走っていた快感が一瞬で吹き飛んだ。

本当は日本画のの歌でも午後五時の音と書きたかったのだが、この同報無線からの時鐘が入り込むと都てが台無しになるのではないかという懸念が払拭できなかったので止めてしまった。

時間通りに事が進まないと苛苛する人はある程度いる。でも、不意の待ち時間には辞書や本に目を通す機会を得たと思って楽しむことにしている。酷暑や極寒の中待たされるのは耐えられないが、そうでさえなければ案外何とかなる。昏ければ星空を見るか眠ればいいのだ。

8月3日追記: しざかいという読みが一般的でないのでいつか書き直すかもしれない。

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