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残暑光宿る白栲浜松の鴨江の館にはたはたとあり

ひかりをつなぐお開きに際して


季寄せには薄暑光しか載っていないが、残暑光も認められるのではなかろうか。白栲のは枕詞にすると様々な語が続く。春過ぎての歌では衣を導く。此処では意味の関係で地名の浜名を伴う例があったので、それに倣った。また、最後ははためきてけりと表現しても良いが、けりを使いたい気分でなかった。しみじみとした感動にはそぐわないかもしれない。

最終日は三階で展示と制作をなさっていた。凡そ十二米四方の部屋で中央に五枚の布がひらめいていた。窓からの入射量も増え、街の騒めきも遠く、一階で拝見するよりも生き生きとしていた。作品の間が一人通れる分空いていて、其処に留まると風と日を纏っているようだった。羽衣蹁躚たる様に紛うばかりだった。

現在が古代となった時、金太郎飴のような値札よりもこのような絵が出土して欲しいなと思った。

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