haiku0321
一山の百科事典の虫干よ
昭和の風物の一つに百科事典売りがある。愚父と愚母とも銘々に買わされた。聖書に次ぐ発行部数を記録したのではなかろうか。横領が発覚した某新古書店だが、どんなものでも引き受けるとしている以上、一山百文の在庫もあろう。店員や倉庫の管理者が分厚いブリタニカを持っていく労力が計り知れない。廃棄しても文句は出まい。
この嵩張りが今や3万円の電子辞書一台の前に月前の星である。岩波文庫でも揃えて置けばよいものを。同じ値段なら大漢和が欲しかったなあ。早川SF全集も可。頭の良い子の家には本があるとかのポジショントークに乗せられたのだろう。いわんこっちゃないの馬鹿共めが。せめて古本を求めよ。渠等は電視ばかりで事典を引いていた覚えがない。序でに祖父も許せない。しょっちゅう吟行していた高祖父の遺した資料をみすみす知人に持ち去られたのだ。学問、芸術に関しては菽麦を弁ぜない者しかいないのか。併し乍ら教育図書学参部の辞典や電子辞書を気前よく与えてくれたので悪口も程々にすべきだが。それに手も頭も柔らかい騃孺が云う権利なぞあろうか。ただ政商納言が悪いのみである。(あの篁裏坦三と同次元の冗句で控えめに申し上げて汗顔の至りで御座いましたが) 世間について真っ暗の騒士(争子)が申し上げました。
とここで筆を擱こうと思っていたのだが、余裕のない若者が日国をクレカで買わされたと聞いた。おこです☆彡。【闇】貧困Z世代『23万円の国語辞典をクレカで購入。生活が苦しい』なるスレが建っていた。写真を見ると紙電子問わず次々に餌食となっているらしい。百歩譲って小学館の13巻組は部分的にしか電子辞書に収録されていないから意味があると云えなくもない。(三万でお引取り致します。多分中古仕入の相場だろう。送料の負担と梱包、配送は宜しく) それでも密林や日本の古書店で探してからにするが。大抵手沢など見たくても見られない。余り信用していないが、ジャパンナリッジ[検索除け]の定期購読も手だ。そのほかの辞書は組本でなければづッ囙フで叩き売りしているし、カシオ製でもシャープ製でも大抵搭載している。(中古機器は八一卜"フが一番丁寧に手入れしてある。) 情弱を食い物にする倫理観の無さは和せしむる時代の敵ではなかろうか。心火を鎮められない。営業職が真価を見分けられるように進化し、思考回路が深化する日は果たして訪れるのだろうか。商人自身もまた、何らかの不良在庫を公私問わずに雪達磨式に肥やしているのだった。
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イワンの馬鹿のイワンは戇直そのものだ。筋は予想できたが、心温まる話だった。菊池寛の訳が青空文庫に掲載してあるので読書感想文用の本に推しておく。
若者の辞書貧困は只の趣味だとは思うが、推し活や学歴劣等コンプレックスの被害者の可能性が排除できないので販売者を責めているのだ。
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