haiku0135

 

酗醟すな食へ食へ食へや村祭


酗醟(クエイ;U+9157,U+919F)は酒に酔って狂う。先の字は読み辛いが後の字は栄華のエイと同じ音素なので間違えないだろう。

秋祭と雖も前後不覚になるのは如何なものか。花看半開、酒飲微酔。此中大佳趣。若至爛漫酕醄、便成悪境矣。履盈満者、宜思之。菜根譚に云う。酕醄の暴動は枚挙に遑がない。海の向こうの事例を持ち出して非難する論客は多いが、そろそろ一世紀経とうとしているので、禁酒法を試してみるのも一興かもしれない。社会が成熟しているのか爛熟しているのかが問題だが。

Enivrez-Vous (酔ってい給え)と云う散文詩がボードレールにある。時間の奴隷にならぬために酒、詩、美徳に酔っていなさいと詠っている。この詩の力強さが全く解析できない己を責めざるを得ないが、涔涔たる心身に深深と迫る。来年の初夏の詩で予約しておいたが、時間泥棒や時間貯蓄銀行に気を付けなければならない。まあ、もはや国際総合時間銀行になっているのかもしれないが。

正直に述べると、詩に酔っている自分を開陳するのは恥ずかしい。所詮古人の咳唾の珠を拾って糸を通しているに過ぎない。誰にでも出来る。そんなんで時間を奪っている。米泉の精に魅入られた小人を論駁する資格があるのだろうか。

折角の晴れの日なのだからいっぱい食べていっぱい騒いていっぱい眠る。その幸せを噛み締めても良いのではないだろうか。いつかは死ぬのだから。バイキングで何度か吐いた羅馬貴族みたいな鯫生が申しても仕方ないが。

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