haiku0119

 

酒薄くして邯鄲を囲みけり


邯鄲は当て字。虫の名。黄梁一炊の夢や盧生の夢とも書く故事成語に因んで夢を用いる句が多い。次点で邯鄲の歩みに関する連想を援用した俳人もいた。足元にも及ばないので、もう一つの俚諺を引っ張り出してみる。してのような説明調の助詞らしきものが紛れているのはその所為だ。元の古句、魯酒薄くして邯鄲囲まる、は池魚の殃の類義語なので、以下の様子を想像してみると面白いかもしれない。

最近の節約生活で純米酒や焼酎や葡萄酒を以前にも増して薄めるしかない。ええい、不味い。むしゃくしゃする。そうだ、邯鄲の声でも聞こう。近くの辛党が徒党を組み、叢の邯鄲を囲んで宴会を開いた。その上戸達は鳳籟をお気に召したそうな。

ツベで探せばと突っ込まれそうだが、電子音源は可聴域でさえ省きかねないからなあ……。

下若と憂愁とは風馬牛の若し(厳密には愁與酒如風馬牛)と断言した詩人もいた。忘憂の物により相応しいのは麴君ではなく邯鄲の類の虫の音だろう。春蛙秋蟬も山奥の庵では幽邃に感じる。温暖化で壊れゆく自然を楽しみ尽すのが経済的で文化的だろう。

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